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(コラム) 日経平均先物のオプション売り戦略

<<カブロボ上級者向け>>

日経平均先物のオプションが大阪証券取引所に上場されてこの6月で21年になります。2009年には34,986,005枚の取引が行われるまでに成長しました。この出来高増加を引っ張っている要因の一つが、プレミアム稼ぎを目的とアウト・オブ・ザ・マネーのオプション売り戦略ではないかと思われます。その辺について少し考察してみましょう。

オプションを取引するに際して最も重要なのはプレミアムですが、そのプレミアムはどのように決まっているのでしょうか。プレミアムはオプションの対象となる資産の価格変動率(ボラティリティ)をベースに計算されます。過去のボラティリティを参考にしつつ将来を予測してプレミアムを決定するのですが、実際は過去のボラティリティに大きく引き摺られてしまっています。

グラフ1は1990年以来の日経平均の値動きと期間1ヶ月のヒストリカル・ボラティリティの推移です。

t4-1.jpg

2006年以降は先物オプションの取引価格から逆算したインプライド・ボラティリティも載せてます。次に2006年以降のインプライドおよびヒストリカル・ボラティリティの推移グラフ(グラフ2)を御覧下さい。

t4-2.jpg

相場の動き始めではインプライドの方が素早く反応して先に上昇しますが、落ち着いてくると逆にインプライド・ボラティリティが先行して下がります。

しかし、インプライド・ボラティリティとそれが示唆した期間に対応する期間の対象資産の実際の値動きから計算したボラティリティ(後出しのヒストリカル・ボラティリティとでもいうのでしょうか!?)を比べると、グラフ3のように、後出しのボラティリティがインプライドよりも先行して上昇してしまうことが分かります。オプション売り戦略のネックは正にここで、落ち着いていた相場が動き始めた瞬間に大きな損失を被るケースが多いことです。

<以下続きます.....Continue readingをクリックしてください。>

t4-3.jpg

それでは、オプションを売りから入った場合の実際の収支はどうなるか、過去の相場に当てはめて調べてみましょう。売るのは日経平均の当限のストラドルもしくはストラングルで、SQが終わった日の引け値のレベルで売るものとします。そして次のSQまでは、何が起ころうとも何もしないで、SQ値で決済するというオペレーションを行います。3つの戦略でこの収支を積み上げてみました。計算に用いたプレミアムは2005年までは1ヶ月のヒストリカル・ボラティリティ、2006年以降はブルームバーグの計算した30日インプライド・ボラティリティを使って計算しています。

まずは、①当日の引け値近辺を行使価格をするストラドル売りのケースです。グラフ4のように勝ったり負けたりです。、うまい具合に期間を区切ればかなりの収益を上げることができますが、逆にタイミングが悪いとかなりの損失となってしまいます。20年間の平均では1取引あたり収益-8.78、標準偏差は793.26になります。

t4-4.jpg

つぎのグラフ5は、②デルタ10%となるように行使価格を調整したストラングルの売りのケースです。デルタが10%なのでかなりアウト・オブ・ザ・マネーですから、受け取るプレミアムが比較的小さくなってしまっていますので、積み上げる収益が少ないわりに、損失が出た場合は金額が大きく嵩んでしまっているという状況に陥っています。この場合は1取引あたりの平均収益-45.65、標準偏差449.53です。

t4-5.jpg

そして、③ボラティリティの水準に関わらず、日経平均価格の10%アウト・オブ・ザ・マネーを行使価格とするストラングルを売ったケースがグラフ6です。

t4-6.jpg

③の場合はボラティリティの高い時期に比較的多めのプレミアムを受け取ることが出来たことが奏功して、結果としてはかなり良い収支となっています。それでも平均収益17.95で標準偏差353.91です。年換算では、収益215.38で、標準偏差1225.99ですから、シャープ・レシオと言う考えかたでは0.175。このくらいの運用成績だったら、あまり優秀なファンドマネージャーとは言えないかな!?

①②③を比較すれば、受け取りプレミアムの少ない②が最悪のパフォーマンスです。行使価格が遠いからと安易にオプションを売ってはいけないということを如実に物語っています。皆さんもこの戦略には特に気をつけてください。逆に、③のケースは、受け取りプレミアムがそこそこあるうえに、アウト・オブ・ザ・マネーなので相場急変時のバッファーもそこそこあるということで一番良いパフォーマンスになっています。それでも、この20年間でも5回ほど2000ポイント前後のロスが発生しています。やはり相場はしっかりモニターして急変時には、とにかく素早くポジションを手仕舞うことが肝要です。早めにニュートラルのポジションに戻して積み上げてきた収益を守らないといけませんから。

螺良 靖
マネックスグループ株式会社 CRM (Chief Risk Manager)

<カブロボ運営事務局より>
現時点で、株価指数オプションは、カブロボの売買対象外になっております。
なお、ストラドルもしくはストラングルを行う戦略は、実際にはデルタ、ガンマ等をコントロールすることや、カレンダースプレッドを計算するなどのことが行われているようです。

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 資料はカブロボ開発の参考になる情報提供を目的とするもので、投資勧誘を
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                     トレード・サイエンス株式会社
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